クローン病の内科的治療
主に栄養療法、薬物療法を行います。治療方針は重症度や患者さんの状態などに合わせて決めます。
栄養療法
栄養療法は、栄養状態の改善と腸管の安静に加え、腸管の炎症を抑えるために行います。
クローン病の栄養療法の種類
治療法の種類 | 特徴など |
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経腸栄養法 |
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完全中心静脈栄養法 |
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難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木斑):
クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識 第4版. 2020年3月改訂
(http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/02.pdf)(2025年6月2日アクセス)
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(久松班):
令和6年度 改訂版潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和7年(2025年)3月31日改訂
薬物療法
薬物療法で用いる薬には、以下のものがあります。
クローン病の治療薬の種類
治療薬の種類 | 特徴など |
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5-ASA製剤 |
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ステロイド |
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免疫調節薬 |
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抗菌剤* |
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生物学的製剤 |
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JAK阻害薬 |
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* クローン病に対しては保険適用外
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木斑):
クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識 第4版. 2020年3月改訂
(http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/02.pdf)(2025年6月2日アクセス)
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(久松班):
令和6年度 改訂版潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和7年(2025年)3月31日改訂
血球成分除去療法
血液を腕の静脈から体外循環させ、カラムと呼ばれる特殊な筒に血液を通過させることで、炎症に関わっている血球成分を除去する治療法です。
栄養療法や薬物療法で効果が得られない場合やこれらの治療が使用できない場合で、大腸の病変による症状が残っている場合に用います。
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木斑):
クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識 第4版. 2020年3月改訂
生物学的製剤とは?
生物が持つタンパク質を作る力を利用して製造された医薬品です。
生物学的製剤はバイオ医薬品とも呼ばれ、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術などのバイオテクノロジーを応用して、生物が持つタンパク質(ホルモン、酵素、抗体等)を作る力を利用して製造された医薬品です。
はじめは、体内で不足するタンパク質を補う目的で開発が始まりました。近年はがん、血液の病気、免疫の病気など様々な病気に対する生物学的製剤の開発が進んでいます。
クローン病に対して用いる生物学的製剤
中等症~重症の患者さんで、5-ASA製剤やステロイドなどこれまでの治療で十分に効果が得られない場合に以下の治療薬を用います。
抗IL-12/23抗体製剤 | 炎症を引き起こす生体物質であるインターロイキン(IL)-12とIL-23の作用を中和することで炎症を抑えます |
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抗IL-23抗体製剤 | 炎症を引き起こす生体物質であるインターロイキン(IL)-23の作用を中和することで炎症を抑えます |
抗TNF-α抗体製剤 | 炎症を引き起こす生体物質であるTNF-αの作用を中和することで炎症を抑えます |
抗α4β7インテグリン 抗体製剤 |
免疫に関わる細胞であるリンパ球上にあるα4β7インテグリンというタンパク質の働きを抑え、リンパ球が血管内から腸管の組織に侵入するのを防ぐことで炎症を抑えます |
厚生労働省医政局経済課:バイオ医薬品・バイオシミラーを正しく理解していただくために
(医療関係者向け) 2019年2月作成
(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496081.pdf)(2025年6月2日アクセス)